新NISAの積立は一時停止しても大丈夫?止める前に見る順番と再開の考え方


新NISAの積立は、証券会社の積立設定からいつでも一時停止でき、止めても保有している投資信託は非課税のまま持ち続けられます。手数料やペナルティもありません。ただし、その年に使わなかった年間投資枠は翌年に繰り越せないため、収入が下がったときは「停止」の前に「減額」を検討する、というのが筆者の考えです。

「今月は出費が多いので、積立を止めたほうがいいのでは」「相場が下がっているから、いったん止めて様子を見たい」。新NISAを続けていると、一度はこう考える場面があると思います。筆者も投資歴15年のなかで、転職で収入が一時的に下がった時期や、相場が大きく下げた時期に、積立を止めるかどうかで迷いました。

結論から言うと、家計の理由で止めるのは問題ありませんが、相場の理由で止めるのは不利になりやすい、という傾向があります。この記事では、止めたときに何が起きるのかを整理したうえで、止める前に見る順番と、再開のタイミングの決め方をまとめます。

📌 この記事でわかること
  • 新NISAの積立を一時停止すると、何が変わって何が変わらないか
  • 収入が下がったときに、停止より先に見る順番
  • 相場の下落で積立を止めるのが不利になりやすい理由
  • 一時停止と再開の手順、再開のタイミングの決め方

新NISAの積立を一時停止すると何が起きるか

まず、積立を止めたときに「変わらないもの」と「失うもの」を分けておきます。ここを整理すると、止めることへの不安はかなり小さくなります。

変わらないもの失うもの
すでに買った投資信託は、売らない限り非課税のまま持ち続けられる止めている間に積み立てるはずだった分の、その年の年間投資枠
非課税で持てる期間は無期限止めている間の「時間を分けて買う」効果
生涯の非課税保有限度額(1,800万円)は減らない
手数料やペナルティはかからない

2024年からの新NISAでは、非課税で持てる期間が無期限になりました。つまり、積立を止めても、それまでに買った分の非課税のメリットは失われません。

失うものの1つめは、その年の年間投資枠です。年間投資枠(つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円)は、その年に使わなかった分を翌年に繰り越せません。

ただし、生涯で非課税で持てる上限(1,800万円)は、止めていた期間があっても減りません。月の積立額が年間投資枠の上限より小さい人、たとえば月3万円で積み立てている人であれば、あとで積立額を増やして取り戻すことができます。年間投資枠の使い残しが実際に問題になるのは、毎年の枠を上限まで使い切りたい人に限られる、と考えてよいと思います。

読者
止めている間に、積み立てた分が減ったりはしませんか?
Hiroshi
積立を止めても、保有している投資信託の値動きは続きます。増えることも減ることもありますが、それは止めていなくても同じです。「止めると損をする」わけではなく、「止めている間は新しく買わない」だけ、と考えると整理しやすいです。

収入が下がったときに、停止より先に見る順番

転職、休職、残業代の減少などで収入が下がったとき、筆者は次の順番で考えるようにしています。いきなり「止めるか、続けるか」の二択にしないのがポイントです。

1. 生活防衛資金が足りているかを確かめる

最初に見るのは、投資ではなく現金です。生活費の3〜6か月分程度を目安とする生活防衛資金が、収入が下がった状態でも確保できているかを確かめます。

収入が下がると、毎月の赤字を現金で埋める場面が出てきます。そのときに生活防衛資金が足りなければ、積立の見直しは避けられません。考え方は生活防衛資金の作り方|投資を始める前に必ず確保すべきお金にまとめています。

2. 停止ではなく減額で済むかを考える

生活防衛資金に余裕があるなら、次は「止める」より「減らす」を検討します。多くのネット証券では、積立額を月100円から設定できます。積立を続けておけば、再開のときに設定をし直す手間もかかりません。

たとえば、月の手取りが30万円から25万円に下がったケースを考えてみます。

項目収入が下がる前収入が下がった後(例)
毎月の手取り30万円25万円
生活費22万円22万円
余剰資金8万円3万円
新NISAの積立額3万円1万円に減額
現金で残す額5万円2万円

この例では、積立を止めなくても、1万円に減らすことで現金を毎月2万円残せます。数字は単純化した例ですが、「全部止める」と「そのまま続ける」の間に選択肢があることがわかると思います。

3. それでも家計が回らなければ、一時停止する

減額しても家計が赤字になるなら、そこで初めて一時停止を選びます。家計の理由で止めるのは、新NISAの使い方として何も悪いことではありません。生活を守ることが優先です。

4. 売却は最後の手段にする

現金がどうしても足りないときは、保有している投資信託を売ることもできます。ただ、売却は「現金が必要になった」ときの手段で、積立を止めることとは別の判断です。売る順番や注意点は新NISAの出口戦略・取り崩し方で整理しています。

休職や育休で、数か月収入が大きく減るとき

手取りが少し下がるのではなく、休職や育休などで数か月にわたって収入が大きく減ることがわかっている場合は、最初から一時停止を選んでもよいと筆者は考えています。減額で続けても、その間の生活費を現金で払い続けることになり、生活防衛資金が減っていくからです。

この場合は、収入が減る前に「何か月止めるか」と「いつ見直すか」を決めておきます。たとえば育休なら、職場復帰の月を再開の目安にしておくと、止めたまま忘れることを防げます。

📌 収入が下がったときの順番
    1. 生活防衛資金が足りているか確かめる
    1. 停止ではなく減額で済むかを考える(月100円まで下げられることが多い)
    1. それでも家計が回らなければ一時停止する
    1. 売却は、現金がどうしても必要なときの最後の手段にする

相場の下落で積立を止めるのは、不利になりやすい

家計の理由とは別に、「相場が下がっているから止めたい」と考える方もいると思います。筆者もかつてそう考えたことがありますが、データで見ると、下落局面で止めるのは不利になりやすい傾向があります。

理由は、積立投資が「毎月同じ金額で買う」仕組みだからです。価格が下がっているときは、同じ金額でより多くの口数を買えます。この仕組みはドルコスト平均法と呼ばれます。

計算を単純にするために、1口1,000円の投資信託を、毎月1万円ずつ4か月積み立てた例で比べてみます。

月1口の価格続けた場合に買える口数下落中に止めた場合
1か月目1,000円10口10口
2か月目800円(下落)12.5口停止
3か月目800円12.5口停止
4か月目1,000円(回復)10口10口
合計4万円で45口2万円で20口

価格が1,000円に戻った時点で比べると、続けた場合は4万円の元本が4万5,000円(+12.5%)になっています。下落中に止めた場合は2万円の元本が2万円のままです。止めていた2か月は、安く買える時期でした。

これは計算を単純にした例で、実際の値動きや将来の成果を示すものではありません。価格が回復しないまま下がり続ける可能性もあります。それでも、「下がったから止める」は、安く買える時期を自分から避けることになりやすい、という点は押さえておくと判断しやすくなります。下落時の考え方は暴落時の対処法|新NISA積立中に相場が下落したときの正しい行動、仕組みの詳しい説明はドルコスト平均法とは|仕組み・効果・デメリットまでわかりやすく解説も参考にしてください。

読者
でも、含み損が増えていくのを見ているのはつらいです。
Hiroshi
その気持ちはよくわかります。筆者は、相場が気になるときほど証券口座を開く回数を減らしていました。積立は自動で続けて、見るのは月1回だけにする。含み損との付き合い方は、新NISAで含み損になったら続けるべき?やめるべき?判断の順番を整理で詳しく書いています。

積立の一時停止と再開の手順、再開のタイミング

一時停止の手順

一時停止の手順は証券会社によって違いますが、おおまかな流れは共通しています。

  1. 証券会社のサイトやアプリにログインする
  2. 投資信託の「積立設定」の一覧を開く
  3. 止めたい積立を選び、「停止」「解除」「金額変更」のいずれかを選ぶ

証券会社によって、「一時停止」の機能があって再開ボタンで戻せる場合と、設定を解除して、再開するときに積立を設定し直す場合があります。止める前に、使っている証券会社のよくある質問のページで、再開のしかたを確認しておくと安心です。

クレジットカード積立は締め日に注意する

クレジットカードで積み立てている場合、カード決済には毎月の締め日があります。締め日を過ぎてから設定を変えると、翌月分の積立はそのまま実行されることがあります。止めたい月が決まっているなら、早めに設定を変えておきます。

再開のタイミングは「家計」で決める

再開のタイミングは、相場ではなく家計で決めるのが、筆者の考えです。

  • 収入が元の水準に戻った
  • 生活防衛資金が目安の額まで戻った
  • 減額した額で数か月続けて、家計が回ることを確かめられた

このどれかに当てはまったら、まず減額した額で再開し、問題がなければ元の額に戻します。「相場が落ち着いたら再開しよう」と考えると、いつまでも再開できなかったり、価格が上がってから再開したりしやすくなります。

止めていた分をまとめて買い足すべきか

再開するときに、「止めていた期間の分をまとめて買ったほうがいいのでは」と考える方もいると思います。筆者は、生活防衛資金が目安の額まで戻っていて、余剰資金がある場合に限って検討すればよい、と考えています。無理に取り戻そうとすると、また家計が苦しくなり、再び止めることになりかねません。

まとめて買う場合も、一度に入れるか、数か月に分けて入れるかで考え方が変わります。どちらが向いているかは一括投資 vs 積立投資 どちらが有利かで比べています。

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まとめ

新NISAの積立の一時停止について、最後に整理します。

  • 新NISAの積立はいつでも一時停止でき、止めても保有分は非課税のまま無期限で持ち続けられる
  • 止めて失うのは、その年の年間投資枠の使い残しと、止めている間に時間を分けて買う効果
  • 生涯の非課税保有限度額(1,800万円)は減らないので、月の積立額が枠より小さい人は、あとから取り戻せる
  • 収入が下がったときは「生活防衛資金 → 減額 → 一時停止 → 売却」の順に考える
  • 相場の下落で止めると、安く買える時期を避けることになりやすい
  • 再開のタイミングは相場ではなく、収入と生活防衛資金の回復で決める

家計の事情で止めるのは、長く続けるための判断です。止めたことを気にしすぎず、家計が落ち着いたら、まずは少額から再開してみてください。

本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資は自己責任でお願いします。制度の内容は変更される可能性があるため、金融庁のNISA特設ウェブサイトや各証券会社の公式情報をご確認ください。

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